Departureしたあなたのこと。
「かみさま」が死んだとき、信者はなんと表現するんだろう
お正月もクリスマスも祝う私には、到底想像できないけれど
私にとって「かみさま」だったあなたのこと。
グループ脱退を発表してから447日が経った。
彼自身の言葉で伝えられたのは、3日後だったかな?だから正確には450日?
(この記事を書き始めたのは4月8日だったので。みんなが覚えている2018年1月16日の出来事です。そうそう、あなたのブログだけが遅くて荒れた。)
あれから私はイメージカラーを気にせずに服を買うようになった。
あなたがどっかの雑誌で言ってたから、って伸ばしていた長い巻き髪をバッサリ切った。
執着していた真っ黒な掲示板は気づけばURLが変わっていたし、LR44の電池は買わなくなった。
絶対に忘れない、3月21日だった。
少しまだ肌寒くて、朝起きるのがおっくうだった。
優先エリアの整理券が、前3組でちょうどなくなったのをまだ覚えている。
ひどく遠くから見たライブだった。あんなに遠くで見るのは、オタク人生あれが最初で最後だった。
それでも、そうだな、あの日のあなたが、なんだかんだで一番だった。
初めて生で見たあなたは、ほんとうにまぶしかった。きらきら、というかぎらぎらしてたな。
お調子者であひゃひゃって笑うくせに、たまにステージで一人きりみたいな顔をすることに驚いた。目線を外してどこかへ行ってたかと思えば、音楽が始まると顔が変わることにときめいた。
世界で一番かっこいいと思った。
ステージのあなたは完璧だった。
そりゃ気まぐれなあなただから、声が出ない日もあったけど。
なんというかまあ、それも含めて完璧だったよね。
歌詞の中の「君」でオタクを指すあなたが大好きだった。私じゃなくても、いや本当は私じゃなきゃ嫌なんだけど。でも、オタクを選ぶあなたのことが好きだなあと思ってた。
あなたがそこで、私たちに、歌っていてくれるのなら、なんだってできると思った。
これは誇張でもなんでもない。
ただの人間のことを「かみさま」扱いすることは、きっと時に残酷なんだろう。
あなたのことを、きっと苦しめたんだろうね。
脱退して初めて見たあなたは悲しいくらいに「人間」だった。
暗い狭いライブハウスで歌う姿は、小さく見えた。
ラブソングの「君」ではもう私達の方を見なかった。
ああ、どこを見ているんだろ、今までこちらを見ていたのは、カタカナのあなたの演出だったんだなあ。
あの日、はじめてあなたのことを見た気持ちだった。
もう何百回と見ただいすきな顔なのにね。
だって、だって仕方がないじゃん。
うまれてはじめて出会った「かみさま」だった。
そう思ってしまったんだから、仕方がないじゃん。
目がくらむくらいまぶしかった。
間違っているんだけど、これが私の真実だった。
大げさかもしれないけれど、ドルオタってみんなそうじゃない?
推しのこと「かみさま」みたいって思ったことない?
せめてこの信仰くらい許してほしいし、私の信仰を邪魔する権利は本人にすらないよね。
あなたがあのアリーナで「生きがいですか?愛ですか?」と問うたのを、私は意地っ張りだから、「そんなたいそうなものじゃない」と答えたんだけど。
今だから言えるけど。私のすべてだった。
あなたが「人間」に戻って、もう言うことも特になくなっちゃった。
「人間」であるあなたのことを、私は何も知らないし。
「人間」であるあなたに、「人間」として恋をする気もさらさらない。
私とあなたの物語もここで終わりにしようと思います。
いや長くて波乱の物語だったな。
接触でも、手紙でも、あなたに言えなかった。
「大好きだったよ誰よりも。」
さよなら、私が愛したすべて。